関節が変形したからといって手術は必要ない!
「手術しないと治らないって言われました」
ショックな宣告です。
しかし、本当に手術をしないといけないのでしょうか。内臓疾患ならいざ知らず、関節の変形で手術するというのは、もう少し別の方法も考えてみるべきです。
椎間板ヘルニアや膝関節、変形性股関節、肩関節などは手術以外の方法でも効果が高いものです。
手術よりも大切なのは、そんな状態になるまで放置していたことの方がよほど問題です。
虫歯に例えると、初めは小さな穴が歯に見つかるくらいだったはずです。それを放置して穴が大きくなるまで待っていたというのと同じです。
「痛みがなければそれでいい」、そうおっしゃるかもしれませんが、進行していくものには少し頭を使わなければならないものです。
関節においても、初めから変形していたのではなく、徐々に変形していったのです。
「これくらいなら大丈夫だろう」「このくらいならそのうちに治るだろう」
そう思うのでしょうが、甘い考えです。その考えが通用していたのは、若い時、それも打ち身や切り傷程度の痛みのことです。
「昔はすぐに治っていたのになあ」
このセリフもよく聞きます。その「昔」は関節の変形の痛みではないのです。今現在ある痛みは、その年代にありがちな、変形や障害など退行変化といわれる勤続疲労のような痛みです。
変形した関節でも時間をかければ改善可能です。
しかし、間違ってはいけないのは、鍛えて治すという発想です。テレビでは鍛えたら治るといったイメージを持たせるような演出が多くみられますが、実際の臨床の場では、鍛えると関節に炎症を起こし症状は悪化することがよくあるのです。
変形した関節に必要な治療と言うのは、関節運動を痛みなく、最大限に広げることです。ここでも間違ってはいけないのが「柔軟性をつける」という発想です。
柔軟性をつけることではありません。アクロバチックな体操ができることと健康とは何の関係もありません。有害にすらなるくらいです。
関節運動というのは、それぞれの関節の可動が正常範囲にあることです。硬すぎることはは問題ですが、柔らかすぎることも問題なのです。「過剰」はどちらにとっても有害なのです。
正常な関節の可動域を取り戻すことが、変形性関節症の改善には重要な要素なのです。
それには治療する側の視点がそこになければいけません。どこの病院でもこういったことを行ってくれるわけでは全くありません。
患者さんはそれを求めるべきです。与えてくれるものではないのです。
与えられたものを手軽に手に取っているだけでは損もしています。自分から手に取るように動かなくてはならないのではないでしょうか。
世の中は、摘ままされる人と摘まむ人に分かれるといいます。そして、摘まむ人の割合はとても少ないのです。おわり
頑張りましょう。