なぜ治らないかを知っておきましょう!
「どこへ行っても治らない」
というセリフはよく聞きます。痛みや苦痛は日常生活に悪い影響を与えます。
医療はずいぶんと発展してきていることは多くの人が知っていることと思います。しかし、難しい病気の外科手術の発展は別として、いまだに腰痛の原因も治療法も確立できてはいません。
むち打ちなどのメカニズムはだいぶわかってきたのですが、そのメカニズムを治療にうまく当てはめる方法は確立されてはいません。
意外にも、「痛みのメカニズム」が理解され始めたのは、ここ10年ちょっとです。まだ最近のことです。
多くの人が悩む「肩こり」などもよくわかってはいないのです。
また、長い間痛みを我慢している人も多い慢性痛についても、やっと研究も始まり、そこでわかってきたのが「
痛み止めの薬が効かない」ということです。
長い期間、あんなにも痛み止めの薬を飲んでいたのに、その薬には効果が薄いということがわかってしまいました。
「なぜわたしの痛みは治らないのだろう?」
この疑問に対して、わかっていることだけでも述べてみたいと思います。
①治療法が間違っている::的外れな治療を行っている人も多くいます。
②診断が間違っている:そもそも診断が間違っていれば、治療法も間違っているのは当たり前です。誤診を完全に防ぐことは難しいですが、治療効果がない場合、いろんなパターンを考えることも大切です。
③治る時期にきていない:治る時期が来る前に、治療を止めてしまう人もいます。もう少し続ければ治るはずの症状が残ってしまうこともあります。
④治療家、医師との相性が合わない:これに当てはまることはそれほどありませんが、
治療家、医師の熱意と患者さんの熱意に差があると、うまく治療が進まないことがあります。
⑤途中で大きな病気が発生した:たとえば、腰痛治療をしている途中でガンなどの内科的な病気が発生することもあります。腰痛の原因が筋肉や関節ではなく、内科的な病気から発生しているということもあります。わたしもこれまで何度か遭遇しました。同じ人が施術するべきだと私が考えるのは、現在と以前との違いを観察しながら施術していかないと、気づかないことが多くあるものです。
⑥患者さんの目的が治療とは別にある:仕事を休む理由にしたり、何かから逃避するために、痛くもないのに痛いと言ったりする人はいます。これは治らないのではなく、初めから痛みもなく、治す気持ちもないというパターンです。このことを知るためにも、「なぜ痛みが生じるのか」を勉強しておかないと、何が何だか分からなくなります。勉強していたおかげで、何度もこのパターンから逃れることが出来ました。
治るのに必須なもの
施術する側に必須なものの第一位は、「診断能力」です。これがなければ治療法も選ぶことはできません。
次に必要なのが「治療技術」です。せっかく素晴らしい診断ができても、その後の処置が出来なければ、治るはずのもの治りません。
そして、施術者だけでなく患者さんのやる気も重要です。わたしはいつも「この人にはどこまで力を注げばいいのだろう?」と考えながら施術を始めます。
「どこまですればいいのか」
というのは、熱心でない人に、あまりにも熱心にしすぎると「そこまでは要らないんです」という話にもなります。難しいところなのです。
そして、「治らない原因」には、大きな病気が隠れているというものがあります。そのために施術する側には細かな観察が必要です。
大きな病気が見つかれば、すぐに医療機関での診察を勧めるのも、わたしたちの仕事です。
頑張りましょう。